タバコを吸う人のお口に起こる6つの悪影響を歯科医が教えます!

2018年12月08日 虫歯

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「タバコを吸う人は、健康をおろそかにしている」と言ったら言い過ぎでしょうか。いいえ、喫煙は明らかに健康を悪化させます。「可能性が高い」というあやふやな言に「自分だけは大丈夫だ」という期待をしないで下さい。

タバコのパッケージには、こう書かれています。
「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。疫学的な推計によると、喫煙者は肺がんにより死亡する危険性が非喫煙者に比べて約2倍から4倍高くなります。」もし、あなたが喫煙者であれば、それを承知でタバコを吸っているはずです。このページでは、「タバコを吸う人のお口に起こる5つの悪影響」についてお話しますが、内容は「患者に健康になって貰いたいと願う歯科医師の立場」で書かせて頂きました。たばこ産業に携わる方には申し訳ございませんがご了承下さい。

喫煙が口腔内に及ぼす影響

1:歯周病を進行させる

タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があるため、血管から供給される酸素や栄養素が歯肉に十分に行き届かなくなります。さらに、たばこに含まれるタールには抗炎症作用があるため、非喫煙者の歯周病の症状と比較して炎症や出血が起こりにくい状態となっているので、歯周病になっても歯肉の出血や腫れという症状があらわれにくくなります。自覚覚症状を頼りに歯周病に気づいた時にはすでに重度歯周病にまで進行していることが多いのです。この事実は、「知らなかった」では済まない問題です。このページで知った以上は煙草を吸う人は、「歯の健康と引き換えに喫煙をするのだ」という強い覚悟がなければ、このまま吸い続けるのは賢明ではありません。「煙草も吸いたい、でも歯を失うのは嫌だ」という「良いとこ取り」を望む気持ちがあるなら、その人は、この点で理想と現実との開きがあまりに大きいと言えるでしょう。

これは、喫煙者が一年間に肺から体内に吸収するタールの量です。タールには「発がん性」がありますが、「抗炎症作用」もあるのでちょっと厄介なのです。抗炎症作用により歯肉が腫れなくなるので、毒による健康被害を見えなくしてしまうのです。

2:唾液分泌量を低下させる

唾液の分泌量が低下することでうまく再石灰化が行われず虫歯になるリスクが高まります。
また、菌の繁殖に伴い歯周病の進行や口臭が強くなる原因繋がります。口腔内の殺菌や歯の再石灰化を促す効果を持つ唾液の分泌量が減少することで、しっかりブラッシングしても歯周病が進行してしまう/虫歯ができてしまう/口臭が気になる といった状況になってしまうのです。
他にも唾液分泌量の減少によって口腔内では様々なトラブルが生じます。

3:色素沈着(ヤニが付く)

タバコに含まれるタールは歯に頑固にこびりつきます。歯に付着したタールの色素「ヤニ」はなかなか歯ブラシでは落としきれずとても厄介です。「タバコのヤニ」で汚れた歯は、歯周病菌が住み着くのに適した環境となってしまいます。

 

また、歯肉にメラニン色素が沈着して歯茎が黒くなってしまうのはニコチンやタールがメラニン色素を刺激する作用を持っているからです。一度色素沈着して黒ずんでしまった歯肉はなかなかもとには戻りませんのでこちらも厄介者ですね。

 

 

4:外科治療の経過が悪い

ヘビースモーカーは、毛細血管が収縮していて、末梢まで血液が供給されません。血管がビタミンC不足によって傷の治り自体も悪いので外科処置に不向きな患者です。
「喫煙者はインプラント治療のハイリスク患者」であることは医療従事者には有名な話です。
ニコチンの血管収縮によって毛細血管の血流が滞ってしまっているので、手術後に切開線を縫っても高確率で傷が裂けてしまいます。そこから感染してしまうのでいい結果は出にくいです。インプラント埋入後では傷の避けたところから細菌が入りこみうまくインテグレーションしないこともあります。また、インプラントの長期安定性は悪いです。

5:インプラント周囲炎を進行させる

歯周病は天然歯にのみ起こることだと油断していると歯周病と同じことがインプラント周囲の組織にも起こってしまう可能性が高いです。もし、喫煙は「インプラント周囲炎」の大きな要因です。繰り返しますが、健康を犠牲にしてでも喫煙する自分を貫くか、せっかく入れたインプラントを守る努力をしたいのかを選ぶべきです。「良いとこ取り」を望む気持ちは現実離れしています。

6:高確率でガンになる

喫煙は口腔内の癌のリスクになります。また、前癌病変である白板症のリスクにもなります。顔に出来た癌を切除すると、顎や唇を失うかも知れません。上顎洞に及べば鼻を失います。しかし、除去して命が助かる人は、まだ良いほうかも知れません。残念ながら口腔内の癌は致死率が高いです。

たばこのパッケージを見ると、煙草を吸う効果として、「高確率で癌になる」という薬理作用が明記されています。自分のために、家族のために命を大切にして頂きたいと思います。

加熱式タバコについて

「健康に良い煙草」というのはありませんのでそれも付け加えたいと思います。煙が出ない「加熱式タバコ(iQOS)」は、タールが入っていませんが、体に良いという事はありません。タールの抗炎症作用は見込めないので、「加熱式タバコ(iQOS)」を吸う人の歯肉は、腫れて出血してくることが報告されています。「煙草を加熱式に替えたら歯肉が痛くなったと」いう人が多いのはそのためです。多くの科学物質を肺から吸引する人体への影響は数十年後に報告されることでしょう。自分の大切な体に行うべきかどうか、慎重になって頂きたいと思います。

まとめ

「喫煙が及ぼす口腔内への様々な悪影響」ご理解頂けたでしょうか。もちろん、喫煙し続けるとこで悪影響を受ける場所は口腔内にとどまりません。悪影響は全体に及びます。まさに「喫煙は百害あって一利なし」ということですね。

歯周病と関連性の深い「喫煙」を絶つことで症状の改善がみられる可能性があります。逆をいえば、歯周病の原因因子である「喫煙」を絶つことができなければ歯周病の改善、完治は難しいでのす。たった一度の人生です。「喫煙を続け、歯周病で歯を失い、その後も続く悪影響を受け入れる」よりは、「今からでも禁煙して健康な人生を目指す」ことをお勧めします。

ニコチン依存症は脳の病気ですので、医師に相談することをおすすめいたします。この機会に禁煙外来を受診してみて下さいね。

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