小さな虫歯は治療しなくても大丈夫?痛みのない小さな虫歯の治療について

2019年02月15日 虫歯

small-dental-caries02

「小さい虫歯は治さない方が良い」と聞いたことがある人もいるかも知れません。それ、本当でしょうか?大きく進行していった虫歯が、小さい虫歯に戻ることはないのですから、それ以上進行させない事や虫歯が小さいうちに対処するのが、予防歯科の正しい考え方です。

しかしながら耳を傾けると「虫歯は小さいうちに治しましょう」「小さい虫歯は治さない方が良い」の二つの意見があります。“健康に関するうわさ”の真相はどうなのでしょうか?今回の「歯の教室」では、小さな虫歯の治療について歯科学の専門家としての考え方を説明していきます。

小さな虫歯は治療するべきですか?

小さな穴でも虫歯になった結果、歯に欠損を生じさせている状態では、虫歯という病気の状態です。この欠損という病態は、自然治癒しません。虫歯菌に感染した部分は取り除かなければ進行していきます。歯の最も表面にある層のエナメル質に限局した虫歯には、虫歯の痛みはありません。しかし、痛くなくても病気です。始めは小さな穴でも、どんどん進行して大きな穴になっていき、最後には歯の神経や根っこの先にまで虫歯菌は侵入する可能性があります。

痛くないのに治療が必要なの?とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、「病気はもっと悪化して痛みが出てから治療すれば良いという考え方」は、ときに良くない結果を招いてしまいます。痛くないから検査しなくても良いとか、痛くないから治療しなくて良いなどとは考えないで欲しいものです。

生活習慣病による全身疾患や悪性腫瘍などの病気は、予防や早期、早期治療が大切といわれています。虫歯という病気も予防や早期、早期治療が大切のなのは、それと同じ理由です。小さな虫歯であれば、小さな削合、小さな詰め物で済むわけです。そして、小さくすむ治療ほど予後が良いのです。

治療の必要ない虫歯があるって本当?

虫歯の段階度合いは、Co(シーオー)~C4(シーフォー)で分類されています。その中のC1からが虫歯とされ、その前段階であるCo(シーオー)は、虫歯の前段階の「要観察歯」です。つまり、「虫歯にならないように注意する」方針をとるべきです。

このCoの段階だけは、歯を削合するなどの治療をせずにCoから健全歯に自然治癒出来る可能性があるからです。

初期虫歯でも治療が必要です

虫歯のごく初期段階であるCoと虫歯のファーストステージであるC1との違いは、歯に穴が開いているかどうかです。歯に穴が開いている状態であるれっきとした虫歯であるC1の段階では、感染歯質を取り除きレジンといわれる樹脂でその欠損を補い修復するする必要があります。

しかし、C1のすべてはCR充填修復が必要かというと、絶対とは言いいきれません。ここに歯科医師の裁量が関与します。

歯科医師の裁量とは、専門知識、技能、経験にもとづいて、最善と判断した医療行為を行うことです。

例えば、小臼歯のかみ合わせの溝がちょっと茶色くなっているC1の人、二人を挙げて説明します。

 

  1.  C1の虫歯で歯を削るケース
    若い患者の小臼歯の咬合面に沿って虫歯になっている。口腔衛生状態が悪く、指導の結果、口腔内環境が改善しない。まだ若い歯であり、エナメル質の硬さもまだ軟らかく、虫歯になりやすい歯質と判断した。他の歯にも虫歯がある。
  2.  C1の虫歯で歯を削らないケース
    中年男性の小臼歯歯の溝が茶色くなっている。探針では多少の凹凸もある。虫歯のC1といえる。しかし、口腔衛生状態は良く、その他の歯も管理が行き届いている。

 

①のケースは、早期発見が必要なケースです。歯科医がこのC1を見つけたら、CR充填をする判断が正しいといえます。

②のケースでは、再石灰が進んでいる硬い歯であり、過去に虫歯になったまま数十年進行せずにいた歯です。口腔内環境も良いので、これ以上進行しないように見守りながらメンテナンスに通ってもらうという判断が正しいと言えます。

C1はすでに虫歯なので、基本的には治療の対象です。しかし、削って詰めるC1もあれば、削らずに様子をみていった方が良いC1もあるのです。この歯科医師の裁量は、専門知識、技能、経験などを持っている専門家だからこそ出来る判断です。歯科学を系統付けて学んでいない患者には同じ判断ができないものです。

専門家の力を借りずに虫歯の進行度合いや治療方法の自己判断は止めた方が良いと思います。もちろん歯科医師に自分の希望を言うことは問題ありませんが、結局のところ、「その虫歯を削るべきか、放置すべきかの判断」は、信頼できる歯科医師にゆだねること、指導を聞き入れ忠実に実行する事が皆さんの健康に寄与すると思います。

 

まとめ

C1、C2、C3と虫歯の進行度合いは進みますが、一概にこの状態の歯はこのタイミングで、このように治療すべき、といった決定的な方法があるわけではありません。患者の状況を総合的に診て担当歯科医師が適切な判断をしてくれるはずです。
たとえ小さな虫歯でも痛みがなくても虫歯は虫歯です。進行して大きくなる前に歯科医院を受診し専門家の意見を聞いて下さい。それが歯の長持ちに繋がります。自分の歯は歯科医院を上手く利用した自分で守るのだという気持ちで虫歯予防、虫歯の早期発見、早期治療に努めていきましょう。

コメント..

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント
お名前 *
メールアドレス *

PAGE TOP