赤ちゃんが虫歯になる本当の理由

2018年07月10日 虫歯

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赤ちゃんの歯が生える時期に心配になってくるのが「虫歯」ですね。親としては可愛い我が子の歯をできる限り虫歯菌から守ってあげたいものですよね。そこで今回は赤ちゃんの虫歯の原因と予防についてお話します。予防とは正しい知識を身に付けるところから始まりますから、最後までしっかりとお読みください。

キスで赤ちゃんに虫歯がうつるという噂は本当なのか!

もちろん、キスしただけで親の虫歯が子供にうつるなんてことはありませんが、この噂は半分当たっています。虫歯はうつりませんが、虫歯菌がうつるのです。うつされる菌の種類によっては、虫歯になりやすい口腔内環境になってしまいます。

親にとって、我が子は愛おしいし存在ですから抱っこしてキスしたくなるのは当然ですね。スキンシップをとることで子供も愛情ゆたかに育つものです。しかし、歯科医学的にはキスと虫歯の感染には因果関係があるとの見解が出ています。

人間の口腔内には様々な細菌が生息しておりその中にはミュータンス菌(虫歯菌)も存在します。唾液に混ざったこのミュータンス菌がキスをした際に親から子へうつってしまうのです。

幼児の口腔内には虫歯菌は存在しないため感染経路は大人からということになります。
しかし、親子のスキンシップを犠牲にしてはいけません。感染のリスクを恐れ躍起になる必要もありませんが、可愛い我が子の健康を守るうえで、【正しい知識を身に着けること】はとても重要ですから、どうぞ最後までお読みください。

 

虫歯の乳歯が多い子は大人になってからも虫歯になりやすい

 

乳歯早い時期にミュータンス菌(虫歯の原因菌)に感染してしまったお子さんの場合、虫歯リスクが高い状態となります。

・虫歯菌が多い
乳歯の時期に虫歯が多いお子さんの口腔内にはそれだけ虫歯の原因菌(ミュータンス菌)が多く存在します。この口腔内環境では永久歯が萌出してきても同じように虫歯リスクが高い状態にあります。乳歯は永久歯と比較してとてももろく、虫歯になりやすいのでしっかりとケアする必要があります。


・乳歯の根尖病巣

乳歯の虫歯を放置しておくと虫歯菌は侵襲し続けてあっという間に根尖(歯根の先端)までたどり着きます。歯の神経が大きく短いためです。根尖に病巣ができてしまうとその下で萌出の準備をしている永久歯にも悪影響を及ぼします。虫歯ができてしまった時にはできる限り早期に治療することが大切です。定期健診を利用して虫歯の早期発見/早期治療 を心がけましょう。

昭和歯学会雑誌(1996/16巻1号 P16-23)で梅澤 理絵子等の書いた「乳歯根尖病巣が後継永久歯に与える影響」についての論文が掲載されています。気になる方は読んでみてください。

 

 

赤ちゃんを虫歯にさせないようにするには?

新生児の段階から虫歯菌が存在しない口腔内を継続させることで虫歯になりにくい口腔内にすることが出来ます。一般的に歯が萌出し始めてから3歳までが特に虫歯菌が感染しやすい時期とされており、少なくともこの時期までは虫歯菌の感染には要注意です!

3歳を過ぎると口腔内の常在菌バランスが形成されてくるので、そうなるとたとえ悪い虫歯菌が口腔内に侵入してきても菌層バランスを崩せずに繁殖しにくいので、悪玉菌が住み着く可能性は低くなるのです。

では、虫歯菌を赤ちゃんにうつさないためにはどのようなことに注意すればいいでしょうか?

 

唾液感染に注意する→キスする行為は避ける

虫歯菌の感染を防ぐためには赤ちゃんの口に直接キスする行為はもちろんNGですが、口腔周辺に直接キスする行為も感染の可能性がありますのでやめておいたほうがよさそうです。キスでさえ感染のリスクがありますから、噛み与え(食べ物をかんで食べやすくしてから子供に与えること)はご法度です。絶対にしないようにしましょう。また、同じ食器を使用することからも感染が認められるため食器の共有も避けたほうが無難でしょう。

歯磨きの習慣をつける →仕上げ磨きを必ず行う

口腔衛生を保つうえで重要となる生活習慣【歯磨き】は小さな子供のうちから習慣付けさせることが重要です。歯ブラシ嫌いにならないように無歯顎(歯が生えていない状態)のうちから歯ブラシに触れさせたり、くわえさせたりすると慣れるまでがスムーズです。

最初のうちは歯ブラシは親御さんの手で行い、お子さん自身で行えるようになってからも仕上げ磨きだけは必ず親御さんの手で行うようにしましょう。

食生活に注意する →甘いものを控える /規則正しい食生活を心がける

虫歯菌のエサとなる糖分の摂取は控えましょう。特に、こまめに摂取する飲料には糖分が含まれていないものを選んでください。

また、食事やおやつの時間はしっかりと決めた時間に摂取するように習慣づけましょう。
ダラダラ食いや間食の多い食生活では虫歯リスクが高くなるので、子供にそのような生活習慣をつけないように注意しましょう。

定期的な検診とフッ素塗布 →虫歯は早期発見/早期治療 /フッ素塗布で丈夫な歯に!

乳歯は永久歯に比べて脆く虫歯になりやすいです。歯が柔らかいために虫歯になると、その進行はとても早く、虫歯菌はあっという間に歯髄にまで進行しますので注意が必要です。

▼虫歯だけじゃない?酸蝕症にご注意を!

まず、かわいい赤ちゃんの哺乳瓶の中身は何ですか?歯が生える前は母乳や粉ミルクですよね。しかし、歯が生えてくる頃からお母さんが気付かずに、酸性飲料を入れている事があります。

酸性の飲み物は、虫歯菌がいなくても歯を溶かします。もう一度言います。酸性の飲み物は赤ちゃんの歯を溶かします。この現象を酸蝕症(さんしょくしょう、英: erosion)といい、侵蝕症(しんうしょう)ともいいます。こうして溶けた歯は酸蝕歯(さんしょくし)と呼ばれ、虫歯とは区別されます。

虫歯は、虫歯菌(ミュータンス菌)が酸を出し、歯を溶かすものでしたね。(→虫歯になるメカニズムについて)ですので、虫歯菌に悪さをさせないことで虫歯は防げました。それに対して、酸蝕歯は、酸性の飲食物が持つ酸が直接歯を溶かした結果です。この場合は、正しい知識と食生活の改善によって防ぐことが出来ます。

 

体に良いと思って摂取していた飲料が歯を溶かすなんて…。せっかくの歯を「健康になる為の飲食物」で破壊させてしまう原因の第一は、何よりも知識不足なのです。今日から正しい知識を持つことで赤ちゃんの口腔内健康を守っていきましょう。

 

哺乳瓶や母乳の卒業時期での注意点

赤ちゃんが少しずつ母乳や哺乳瓶の卒業へと進む時期はストローで飲料を口にする頃です。
さて、ストローで何を飲ませていますか。1歳くらいから歯が生えてきますが、この時期は唾液が多量に出てきますので、よだれの多いの赤ちゃんは酸蝕症にはなりにくいのですが、段々に幼児へと成長し、よだれをたらさなくなりますね。虫歯予防効果の高い唾液の量も落ち着いてきます。

 

この時に酸性の飲み物を日常的に与えることはやめて下さい。歯が溶けてしまいます。

 

酸蝕歯は一度に多くの歯がまとめて溶けるのが特徴です。歯みがきしやすいはずの場所、歯の表面が溶けています。歯科医師、歯科衛生士が酸蝕歯のある子供を発見すると、まず家族に聞くことは「乳酸菌飲料を頻繁に飲んでいますか?」です。飲んでいなければ「スポーツドリンクはどうですか?」と聞くでしょう。

他にも紙パックの野菜ジュースあれは、野菜がほとんど入っていないばかりか、かなりの酸性の液体です。

乳幼児に炭酸ドリンクを飲ませることは少ないかと思いますが、これは体に良さそうでないからですよね。酸性の飲み物は炭酸ドリンクだけではないという知識を持って、乳幼児の歯を守ってあげて下さい。

 

虫歯は遺伝よりも生活習慣に大きな関係性があります

虫歯の多い親の子は同じように虫歯が多いことがあり、虫歯のなりやすさは遺伝するのかという質問を受けることがあります。この質問に対しての答えは「遺伝しますとは一概に言えません」です。

とてもあいまいな返答となってしまいますが、虫歯になりやすい口腔内環境は遺伝的な要素とそれ以外の要素とが相まっているからなのです。

虫歯と因果関係のある遺伝的要素としては【唾液の分泌量と質】【骨格(歯列)】があります。唾液の分泌量が遺伝的に少なかったり、骨格が小さくそこに歯が並びきらず歯列不正であったりする場合には虫歯のリスクは高まるといえます。

しかし、虫歯の原因要素はほかにもあり唾液の分泌や骨格などの遺伝的要素はその一部にしかすぎません。むしろ、食生活や歯ブラシなどの生活習慣にこそ大きな因果関係があるのです。親子で生活を共にしていると行動や仕草が似てくるように、生活習慣や食生活も似てきますね。ですから、生活習慣や食生活面で口腔内の健康によいことを継続的に行うことで自身の口腔内と、そして大事なお子さんの口腔内をも守っていけるのです。

まとめ

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