脱灰と再石灰化について

2018年12月11日 虫歯

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虫歯予防のために一番大切なのは、知識です。次にフッ素を正しく使うことです。今回、知って欲しい虫歯予防の知識は、「歯の脱灰と再石灰化」です。脱灰とは、何でしょうか?再石灰化とは何でしょうか?これを理解して、家族に教えてあげてくださいね。

脱灰と再石灰化とは

口腔内には無数の細菌がひそんでおり、その数は歯の表面に付着した歯垢(プラーク)1mgの中でさえ約2~3億の細菌が生息しているといわれています。この中には虫歯の原因菌である「ミュータンス菌」「ラクトバチラス菌」も含まれており、この菌の生息割合が高いほど虫歯になりやすい口腔内であるといえます。また口腔内は、通常「中性」に保たれていますが食事をとることで「酸性」に変化したり、唾液の作用で中性に戻ったりします。

 

口腔内は常に脱灰と再石灰化を繰り返していて、虫歯は何らかの原因によってこのサイクルが乱れた時にできるのです。

ですから、脱灰と再石灰化のサイクルとそれを乱す原因を知っておくことは「虫歯になりにくい口腔内」を得るうえでとても重要なことなのです。

 

脱灰とは?

酸によって歯の成分であるハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの結晶)が溶かされる現象が「脱灰」です。虫歯の原因となる細菌は、食物に含まれる糖を分解して酸を作ります。歯が溶けて虫歯になるのは細菌が生成したこの酸が原因というわけです。

では、食事のたびに歯は溶かされ続けてしまうのでしょうか?
実は溶かされた歯は唾液の作用で「再石灰化」するのです。

再石灰化とは?

歯が脱灰されても唾液の作用によって酸が中和され歯の表面は元の状態に戻ります。これを「再石灰化」といい、この現象によって歯が溶かされ続けてしまうことが防がれているのです。

食事中の脱灰は誰の口腔内でも起こっている現象であり、「虫歯になりやすいひと」と「虫歯になりにくいひと」の差は再石灰化がしっかり行われているかどうかなのです。

下の図は、歯の表面の断面を高性能顕微鏡レベルで拡大したイメージ図です。左図の「歯の表面が黒くなっている所」は、「プラーク中の酸」により「エナメル質の分子構造が破壊された状態」です。これが「脱灰された状態」です。右図は、その後再石化したことで「健全歯に近づいた状態」です。右図では、歯の高度も増しています。

ここで、学ぶことは2つです。
①重度な脱灰をさせないこと
②脱灰したらしっかり再石灰化させること
正しい知識を持って、常日頃から、「再石灰化がしっかりおこなわれる口腔内環境」にしておくことは「虫歯にしない口腔内」のための重要事項です。

 

脱灰と再石灰化のサイクル

「再石灰化がしっかりおこなわれる口腔内環境」になる為に最も重要なことは、「正しい知識」と「フッ素利用」です。フッ素の話は別のページで解説しますので、このページでは、「脱灰と再石灰のための正しい知識」を学んで頂きます。まず、脱灰から再石灰化するまでの時間やサイクルを理解していきましょう。「横軸の時間」は一日のうち数時間だと思って下さい。

通常私たちの口腔内は唾液によって中性に保たれています。しかし、食事をすることで、食後20分ほどで口腔内細菌の活動により。一気に酸性に傾きます。
口腔内が酸性になると、脱灰が始まるのは、すでに学びましたね。しかし、その後唾液の中和作用によって口腔内はもとの中性の状態に戻りますので、再石灰化することになります。

このグラフの角度は、食事内容でも変わります。虫歯菌のエサとなる糖分の多い飲食物を摂取したり、酸性の飲食物(酸っぱいものや炭酸飲料水など)を摂取したりすると、大きく酸性に傾きます。より強い酸で溶かされた歯は、脱灰の程度が大きいので、しっかりと再石灰化するまでにも時間がかかります。

再石灰化にかかる時間は、脱灰の程度によってばらつきがありますが大体30~40分が目安となりますので、この間に再度飲食物(お茶や水など糖分の含まれない飲食物は除く)を摂取しないように注意しましょう。

アドバイスとしては、まずは、食生活を改善し食事をするときには時間をしっかり決めて「だらだら食い」や「頻繁な間食」は自粛しましょう。食後の歯ブラシは口腔内を中性にする手助けになりますからしっかりおこなうようにこころがけましょう。

 


※食後に歯ブラシするタイミングは、できれば食後すぐではなく30分ほど時間をおいてから磨くようにした方が良いという説もありますがこれは誤っています。正しい歯磨きのタイミングとは?

再石灰化を促すためには?

1;しっかり歯の汚れを落とす

歯垢(プラーク)の中に含まれる細菌の出す毒素によって歯が溶かされる(脱灰)わけですから、まずはその原因となる歯垢(プラーク)をしっかり落とすことが基本です。

歯を歯ブラシでしっかりと磨くことでほとんどの汚れは落とせますが、歯のあいだに歯ブラシの毛先を当てるのは難しいので、糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシなどを併用しましょう。また、長い期間歯に付着している歯垢(プラーク)はやがて石灰化して「歯石」に変化します。「歯石」になってしまうと歯ブラシではなかなか取れない汚れになってしまいますので歯医者さんで専用の器具(超音波スケーラーなど)を使用して除去する必要があります。

 

2;食生活を見直す

食事のたびに脱灰がおこるということは間食やだらだら食いをしているとそのあいだずっと脱灰し続けている状況になるわけです。食後しっかり歯ブラシをして再石灰化を促しても、間食をしたのでは意味がありませんね。

また、よく勘違いされてしまうこととしては、食事じゃないからといって食後や歯ブラシ後に糖分や炭酸の含んだ飲料を摂取することです。飲料も「間食」です。勿論まったく摂取してはいけないのではなく摂取するのであれば食事のときにして、食事以外でのまめな水分には水やお茶など当分を含んでいないものがよいでしょう。

3;フッ素を塗布する

フッ素には、再石灰化を促す効果がありますので、歯科医院で塗布したり市販のフッ素入りの歯磨き粉や洗口液を使用することをオススメします。

 

市販でフッ素の含んだ歯磨き粉や洗口剤が多く取り扱われていますが、歯科医院ではさらに高濃度のフッ素を使用できるため高い効果が期待できます。さらに、フッ素を塗布する前にしっかりとバイオフィルムを除去することが重要なので、歯科医院でのフッ素塗布をオススメします。

市販で取り扱っている歯磨き粉や洗口剤に含まれるフッ素の濃度は「???mg」と法律で定められているので、歯科医院で使用するほどのものは販売していませんが毎日使用することで効果が期待できます。

まとめ

食生活や歯ブラシなど、日頃の週間を改善するだけで虫歯の予防が出来るということがおわかりいただけたでしょうか?歯は一生ものですから、今ある歯を1本でも多く虫歯菌から守っていきましょう。

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