インプラントが欠けた時に知っておきたい知識3選!
せっかくのインプラントなのに、「インプラントの歯が欠けた」なんて困りますよね。知識不足のままインプラントの歯が破折してしまえば、治療のことを思い出し、「あの歯医者に騙された」という怒り心頭の気持ちになってしまうことでしょう。ですから今回は 「インプラントが欠ける知識」について学んでいきましょう。
インプラントが欠けた原因とは?
インプラントが欠けてしまった場合、破折部分の場所や欠けた原因によって対処法は変わりますので、状況を確認し、原因を探すことは対策を取るうえでとても重要です。
例えば朝食中に欠けてしまった人は「パンを食べただけで欠けたのだから、弱い歯を作った歯医者が悪い」と考えるでしょう。しかし多くの場合、朝食のパンは「単なるきっかけ」に過ぎす、パンや歯医者のせいで歯が壊れたのではありません。食事前すでに他の原因によって歯にひび割れしていた可能性が大きいです。
パンが原因でない場合、何が原因でしょうか。きっとひび割れが起こった原因があるはずです。先ほど、「破折の原因を探すことが重要」といいましたが、ここで本当の原因を追究せずに、とりあえず欠けたところだけを修理して終わらせてしまうのは、インプラント人工歯の破折を繰り返す可能性を高めてしまいます。これでは解決になりませんね。
さて、代表的な3つに絞って考えてみましょう。
原因1;材料の経年的劣化
どんな材料でも経年的な劣化は生じます。どんな材料でも古くなるほど劣化していきます。工業製品は完成した日が一番丈夫ということは自動車などの工業製品を見ればわかりますね。
そこで上部構造を装着した日をカルテで調べたり、上部構造の内面摩耗や表面の割れ方を確認したりします。一体何年経ってから、どのような変化が起こったのかは、患者要因を知るうえで必要な情報となります。患者要因については次の「原因2」で説明しますが、単純に材料の劣化だけが原因ならば、インプラント上部構造の再作製で問題が解決されます。
原因2;咬耗などによるかみ合わせの不調和/歯ぎしり
先ほど工業製品の劣化を例にあげましたが、人体も年を取り、抵抗力の低下が起こります。部分的に見ても膝や腰の関節がすり減ったり、顎の位置が変わったりします。
インプラント上部構造を
装着する時にはしっかりとかみ合わせが調和するように調整をしてから装着を行いますが、数年かけて歯のすり減り現象がおこり、咬耗というすり減りを起こします。このように、段々と咬合のバランスも変化していくのです。
天然歯より丈夫なセラミックやジルコニアはすり減ることがほとんどないため咬耗する残存の天然歯に取り残されてしまいます。逆に硬質レジン歯という強化プラスチックで出来た歯は天然歯よりすり減りやすいので、いずれにしても一様にはすり減ってくれません。そのため、咬合のバランスが乱れ装着した日より強い咬合力がインプラントに加わることで結果として上部構造やアバットメントに劣化や破折ことが起こるのです。
しかし、インプラント人工歯部分の破損を恐れないで下さい。工業製品の宿命です。同じ工業製品であるインプラントの骨に埋まった部分、ここは守りたいですよね。実はここに負担をかけないように、その上に乗せるアバットメントや人工歯は先に壊れてくれる方が都合がいいのです。骨に埋めた部分がダメにならないように、交換可能な人工歯部分が壊れて対処すべき問題を教えてくれる構造になっているのです。車のバンパーと同じですね。交換可能なバンパーは事故の衝撃を吸収し、ドライバーを守る役目を果たします。
(対応/対策法)
そうはいっても、長持ちさせたいですよね。いい方法があります。咬耗による咬合の変化を抑制する方法、歯ぎしりなどの衝撃から直接インプラントを守るための方法として、ナイトガードの使用が推奨されているので、それを使って下さい。
インプラント治療をした歯科医院で作れます。
咬耗の主な原因は歯ぎしりです。歯ぎしりとは無意識で行われている場合が多く、その多くは就寝時に起きています。就寝時にマウスピースを装着することでマウスピースが歯の代わりにすり減ってくれるので咬耗を軽減でき、歯ぎしりの衝撃から歯やインプラントを守ってくれえます。バイクに乗る時のヘルメットのようですね。
かみ合わせの改善が必要な場合には顎の変位を改善後に人工歯を交換する修理や全体を作り直す再製作をおススメします。
現在強いかみ合わせによって破折したのであれば今後も同じことが起こる可能性がありますので、顎位の安定、咬合調整、歯ぎしり対策などが必要です。
原因3;ねじのゆるみなどのメンテナンス不足
ちょっとしたねじのゆるみなどが原因となってインプラント上部構造ががたつき、破折に至ることもあります。どんなネジでも緩む可能性があり、いつ緩むのかはわからないものです。ネジのゆるみの発見は早いほど良いです。
定期的な歯科メンテナンスをしていれば、その機会にネジの緩みに気づくチャンスがあり、緩んでいれば、ネジを締め増しすれば良いだけですので、早い段階の発見により大きな問題にならない可能性が高まります。
しかし、ネジが緩んでから歯科医院に行こうと思っているようでは、うまくいかないでしょう。まず自分ではネジのゆるみに気付かないものです。もし、自分でネジのゆるみを発見したなら、かなり前から緩んでおり、長期間そのままだったことが考えられます。
ちょっとした変化や気付きが早期発見につながりますので、メンテナンスは怠らず定期的に受診されることをおススメします。
(対処/対策法)
インプラントの歯の部分が欠けてしまった状態であれば修理か再製作が必要です。メンテナンス不足が原因ですので定期的にメンテナンスに通うようにしましょう。基本的にインプラントに生じる問題は初期の段階では自覚症状が出ません。問題が自覚症状として現れた時には問題が深刻化していることがほとんどです。異変を感じたら様子を見ずに担当医に相談することがとても大切です。
インプラント体に接続されるアバットメントや上部構造が欠けてしまうだけなら修理や交換をすれば修復できますが、インプラント体やその周りの組織が破壊されてしまうと最悪の場合にはインプラント体の除去ということにもなりかねませんのでご注意を!
まとめ
インプラントが欠けてしまったということは、優秀な歯科理工学者たちが歯のために作り上げた素材の人工歯ですら壊してしまう過大な力が加わっていたからだという事がお分かり頂けたでしょうか。
ただ欠けてしまったところを修理するだけでなく、原因を探し排除することが大切なのです。それはインプラントに限った話ではなく天然歯にも同じことが言えます。お口の健康は自分で守るしかありませんからしっかりとケアしていきましょう。
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