インプラントの治療をしている芸能人の失敗

2018年11月14日 インプラント

entertainer_implants

インプラントをしている芸能人の情報を知りたくてネット検索する人の心理は、「あの芸能人のきれいな歯ってインプラントなのだろうか?」という興味本位なのでしょうか?
私が思うには、そうでなくて「歯の状態が悪いので、自分が歯科インプラント治療をするにあたり、自分が失敗したくないので参考にしたいから」というけっこう純粋な気持ちがあるからではないかと思っています。
「芸能人インプラント失敗」を検索する目的は、歯の写真を見ることができる芸能人を参考にして、次の事を知りたいのではないでしょうか。
☑この歯科治療はうまくいったのか?
☑失敗していないのか?
☑どんな苦労があったのか?
☑歯科治療術前の状態とインプラント治療術後の比較をしたい
しかし、医療従事者は芸能人の病状を口外してはいけませんよね

歯科医師の守秘義務の法的根拠

しかし、いくら「自分の治療の参考にするため」でも有名人の意思に反して、彼らのプライバシーをあばくことは良くありませんね。ましてや、医療機関側からのリークによって、「芸能人の誰誰は実は歯科インプラントの人工歯なのだ」という事を口外し、言広めることは許されません。医療従事者が業務上知り得た患者の病状を言いふらすのは、倫理違反であり、違法行為ですね。刑法で禁止されています。


守秘義務に係る法令の規定例(刑法)

第百三十四条  医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。


 

歯科医師は患者の秘密を守るのか?

刑法第百三十四条を見て、「あれっ、歯科医師がないじゃない~!?」と気が付いた方。鋭い観察力をお持ちですね。そう、平成28年の時点では、まだ刑法には歯科医師の守秘義務違反は明記されていないのです。そして、今後も法改正の動きはなさそうです。

ということは、歯科医師が守秘義務違反をしても刑法で罰せられないのでしょうか。あなたはどう思いますか?もしも「歯科医師には法的な守秘義務がない」というなら、皆さんは、歯医者に行くのが嫌になってしまいますよね。

ご安心下さい。安心の理由は二つ。ひとつは、患者を不安にさせたくないという事で、この法律に対し日本歯科医師会が「歯科医師も守秘義務違反を法律に明記すべきだ」という行動を起こしたことがあります。平成24年のことです。これは厚生労働省のHPで閲覧できます。

 

ふたつ目は、「法改正の必要はなく、現行で歯科医師にも守秘義務はある」という立場をとっているのが厚生労働省の見解です。なんかお役人、無理やりですね(笑)。

 

「歯科医師とは書いていないけど、当然含まれるよ。」という事で、まあ、古い法律ですから、「時代的に、当時の歯科医療が患者の秘密を握るなどとは、思いもよらなかった」のかも知れませんね。しかしながら、我々歯科医師は、「当然歯科医師は守秘義務がある」と思っています。こんな基本は歯科大学1年生で習うことです。歯科医師は患者の秘密を守ります。当たり前のことです。

私の友人が都内の芸能人の多い場所で開業していますが、「芸能人が良く来るよ」とは言いますが、誰が来ているかは言いません。むろん何をやったかも言いません。医療従事者は仲の良い友人にも患者の氏名や内容を明かすことはありません。当たり前のこととして守秘義務を守っています。

 

しかし、ある歯科医師が芸能人とのツーショット写真を歯科医院で撮り、Facebookにアップしていました。この場合は、その芸能人の許可のもとに行われた事ですので、流布(るふ)しても良いのです。必ずしも、「通院=秘密」でないわけです。芸能人が自ら、「親知らずの歯を抜き、腫れています。」と病状や治療内容を拡散することもあります。これは、悪い事ではありません。

芸能人が自らプライバシーの公表をしている

Facebook などSNSの普及で、こうした「プライバシーの公表」も増えてくるでしょう。芸能人にもインプラント治療を話題にするメリットがあるようです。自らインプラント治療を受けたことを公表している芸能人がいます。

自らブログやテレビ番組でなどで「インプラント治療をした体験」を語っているのです。それが芸能ニュースになっていますから、「もはや秘密の病状でない」ので、芸能人のインプラント事情を少し調べてみました。

芸能人のインプラント事情を調べてみた

私が、すぐに思い浮かぶのが、歌手の和田アキ子さんと、お笑い芸人の日村勇起さん、彼はバナナマンというコンビで、活躍している有名芸能人ですね。最近綺麗な歯が入り、以前に増してテレビで笑顔を見る機会が増えました。その日村勇起さんと同じ歯科医院でインプラント治療をした芸能人に有吉弘行さんがいます。3人とも好感度が高い芸能人ですが、テレビやラジオで自ら治療の話題を出しています。

あと、ミュージシャンの岸谷香さんです。元プリンセス プリンセス(PRINCESS PRINCESS)の岸谷香さんの2015年のブログでインプラント治療の体験ブログを見つけました。

このように「インプラント治療をした芸能人」が、ブログやテレビ番組、ラジオ番組で話した内容を検証していき、私見を述べていきたいと思います。

 

和田アキ子さん:株式会社ホリプロ所属

Dalyニュースの記事です。和田アキ子さんは、かねてから自身がインプラント治療をしている事を公言しています。今回は、歯科治療の話題を記者に提供したようですね。

歯科医である私は、「インプラント治療を失敗した」というのは誤報と信じたいですね。インプラントというのは、骨に埋めた後半年で骨に生着しますが、その確率はそもそも100%ではありません。特に上顎は確率が低く、喫煙者はさらに生着率が下がるものなのです。

必ず一定数出る「生着しなかったインプラント」を「インプラント失敗」と呼んでしまうのは危険だと思います。事情を知らない一般の人は、「インプラント治療は悪いものだ」とか「手術ミスした歯科医が悪い」と誤解してしまう人が出てしまうからです。

そもそも患者も、この場合は、和田アキ子さんですが、100%の生着率ではない治療を受けることは、あらかじめ知っていて、歯科医師も喫煙者というハイリスクの患者に事前説明した上で治療を行なったのですから、起こるべくして起こったとも言えます。

喫煙者というハイリスク患者に可能性があった「Implant failure」は単なる失敗とはニュアンスが違うと思うのです。「失敗」ときくと一般の方は驚いてしまいますので、もっと現状に即した日本語ができると良いですね。

その後、和田アキ子さんのインプラントの問題はリカバリーできたようで、現在はきれいな歯でご活躍されています。そんな和田アキ子さんを見れば、インプラント治療の素晴らしさが分かると思います。

 

岸谷香さん:オールスパイスカンパニー所属

ブログを見ると「ドーン!いきなり暗い顔(笑)」なにか困っているのでしょうか。複雑な表情をしています。

2015年4月15日のブログの題名は「地獄の歯人生」

 

記事を読むと、弟さんの歯科医院にインプラント治療をしに行く直前のブログでした。
不安な気持ちのまま、ブログをアップしてしまったのですね。あれから数年経った今は人工歯も入り、快適な口腔環境になっているようです。

歌手が歌うのに歯が無いのでは、仕事に支障が出ると思いますので、インプラント治療にして良かったに違いありません。しかし2015年当時のブログを見ると、インプラント治療の素晴らしさを伝えるよりは、インプラントの失敗を恐れるのか、心に残ったネガティブ体験の内容ばかりでしたが、この繊細な感性が名曲を作る原動力なのでしょうね。

最近のブログでは幸せそうに、お料理写真がよくアップされていますので、「歯が無い頃の不安やインプラント失敗の恐怖」から「不安を乗り越えた後の幸せな暮らし」に変化している様子を感じることができます。最近の岸谷香さんのamebaブログもご覧になってみて下さい。

 

有吉弘行さん:太田プロダクション所属

人気ブログ「有吉弘行が語る『芸能人御用達歯科で受けた恐怖体験』 | 後世に残したいラジオの話」によると、タレントの有吉弘行さんは、バナナマン日村勇起さんがインプラント治療をした歯科医院で状態の悪い歯を抜歯することになり、その部分にインプラント治療をしたそうです。これは、2102年8月19日にラジオ放送された『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系列)という番組の中で有吉弘行さんが語った内容です。


有吉弘行が語る『芸能人御用達歯科で受けた恐怖体験』から気になる所を抜きだしてみるとこんな内容です。


① 女の先生が来てくれてさ、で『ちょっとレントゲン撮りましょうか』とかやってくれんのよ
② そしたらぁ、結構あっさり『あ、これダメですね。抜きましょう』って。結構早めの判断なのよ。
③ そしたら、「インプラントっていうのがあるんですよ。抜いちゃったからインプラントをやらなきゃいけないんですよねぇ』って。
④ 「あー、そうですねぇ。まぁ他にも色んなものがありますけど、インプラントが1番いいんですよね。40万なんですけど』って。
⑤ どんどん話が進んでいくの。俺もう怖くてさぁ。
⑥ 入れ歯みたいなの入れちゃえとか。ブリッジみたいなの架けちゃえばいいじゃないかとか。いや・・・怖いねえ、歯医者って。
⑦ ずーっとやってたら、歯科衛生士さんが来て「有吉さん、日村さんの紹介ですか?」って。日村さんがやってるところなの。
⑧ 日村さんの前歯なんて500万かかってるって言うんだもん。
⑨ それでそんなに掛かんのおかしいんんじゃねぇかって噂があるからさ。俺もやられんじゃねぇかって。全部抜かれちまうんんじゃねぇかって恐怖がありますけども・・・。

では、500万円の歯科治療費がかかったという、日村勇起さんはどんな感じでしょうか?

 

バナナマン日村勇紀さん:株式会社ホリプロコム(HoriPro com)所属

日村勇起さんも2016年10月27日の番組「モシモノふたり」(フジテレビ)で自分の歯科療費が総額500万であると告白した話は、放送直後から、またたく間にネットで拡散しました。

ツイッター世代は若い人でしょうから、歯科治療費が500万円という話題は衝撃的だったと思います。

日村さんは、若い頃から活躍されている芸能人ですから、ネット上で多くの顔写真を見ることができます。現在の治療終了後の口元の写真はもちろん、治療前の歯の写真もネットの画像検索で見つかります。日村勇起さんの場合は「インプラントの失敗」というわけではありませんが、芸能人の歯の変化は話題になりました。

彼が若い頃は、歯並びの状態は乱れていましたね。上顎骨が小さくて歯が並びきれない状態です。この場合、インプラントを入れる骨も乏しいことが考えられますので、大がかりに骨を増やす手術を行ったと思います。総額500万円という噂の総額とはどこからどこまでかがわかりませんが、いろいろ考えると500万円という治療費はそれほど驚く金額ではないと思います。

まとめ

芸能人がテレビやラジオで視聴者を楽しませるように、視聴者の興味のありそうな話題をおもしろおかしく話してくれますので、やや誇張して話すテクニックを使います。いわゆる「話を盛る」というものです。話を盛ることで私たちを楽しませてくれることも芸能人の仕事の一つとも言えます。

私たち視聴者としては、芸能ニュースも含めて、娯楽として楽しむのが良いかと思います。インプラントの術前、術後写真を比較してみるのも良いかと思いますが、ネットで芸能人のことを悪く言うのは止めましょう。この記事を不快に感じた方は、連絡下さい。すぐに問題個所を訂正、もしくは削除させて頂きます。

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