インプラントと部分入れ歯、ブリッジはどれを選ぶのが正解か
保険が適用される入れ歯のメリットとデメリット
虫歯や歯周病で1本の歯を失ったり、抜歯せざるを得ない状況になったりした場合。そこへ部分入れ歯を入れるのか、インプラントにするのか、もしくはブリッジによる治療を進めるのか、大きく分けて3つの選択肢があります。歯科医に言われて、迷われている方もいるのではないでしょうか。
まずは部分入れ歯から説明していきましょう。保険が適用されないインプラントとは違い、入れ歯には保険適用のものもあります。「ものもある」と書いたのは、入れ歯にもいくつか種類があり、保険適用ではないものもあるからです。ご存知のように、保険が適用されるものは医療費の自己負担が少なくなります。一般的には3割負担、70歳以上だと1割負担が原則ですね。
保険が適用される入れ歯は、人工歯に歯ぐきの色に似せたプラスチック(レジン)の床が組み合わせられたもので、金属の留め具で付近の歯に装着するものになります。欠損歯が広範囲に及ぶときは、あご全体を床が覆うタイプの入れ歯となってくるので、食事のときの味覚にも少し影響が出てくるかもしれません。
メリットとして保険適用の入れ歯は費用が確実に安く済むのですが、プラスチックの床にはある程度厚みが必要なこともあり、「違和感がある」と言う患者さんもいます。またプラスチックには汚れやニオイがつきやすく、長期間使用すると変色してくるという点もデメリットと言えるでしょう。最初から金属の留め具が針金のように見えてしまうのも、審美的に嫌がる方が多いのが保険適用の入れ歯です。
審美的に配慮された保険適用外の入れ歯も
保険がきかない、全額自費の自由診療によってつけられる部分入れ歯には、審美的にも画期的なものがあります。ペットボトルに似た弾力のある素材を床に使った入れ歯には、目立つ金属の留め具もなく、透明感のある床が歯ぐきに装着したときにも見た目によくなじみます。またかむとその弾力であごの形ともうまくフィットしてくれるので、違和感が少ない入れ歯だと言われています。保険適用のプラスチックの入れ歯はかむとたわむので、あごとは違う形になって痛むわけですね。
できるだけ薄く仕上げられるようにと、コバルトクロムという合金を床に使ったものや、生体親和性がいいチタンを床に使った入れ歯もあります。下あごの場合は、舌の下に隠れるようになった構造です。いずれも保険適用外の入れ歯は、保険のものよりも使用感がよく、目立つ金属の留め具などもない構造になっています。
歯科医がブリッジをあまりおすすめしない理由
「保険適用内にしたいけど、金属の留め金が見えたりする部分入れ歯は嫌だ」という患者さんで、ブリッジを考える方もいます。ブリッジとは、1本または2本の歯がなくなってしまったときに、その両隣の歯に橋をかけるようにして人工歯を装着するものです。ブリッジにも保険適用のものと保険適用外のものがあり、使われている素材によって変わってきます。
前歯から犬歯までには白い素材の人工歯にも保険が適用されますが、それより奥の場合は、いわゆる銀歯のブリッジとなります。入れ歯と同じように、ブリッジも審美性や耐久性においては保険適用外のもののほうが優れている傾向にあります。
このブリッジで私が問題視するのは、1本で成立するインプラントとは違って、人工歯をかける天然の歯を削らなければならないことです。1本の欠損歯がある場合、3連になった人工歯を作り、両側の歯にも人工歯が被せられるように削ってしまって、そこへブリッジを装着するのです。健康な歯を、補佐役としてわざわざ削らなければなりません。その上、欠損した歯がかむ力も、その補佐役の歯だけで負担することになります。
実はインプラントともあまり治療費が変わらないブリッジ
ブリッジの平均耐用年数は、接着剤となるセメントの寿命がくるので8年半ほどと言われています。よく選ばれる保険適用外の白いセラミックの人工歯だとすると、1本10万円のものをブリッジにして3本分の30万円くらいがかかることになります。この30万円の治療費は、ブリッジがダメになる8年半後にはまた再度かかることになるのです。
30万円というと、インプラントを入れることも可能になってくる金額です。当医院でおすすめするインプラントは質がいいので、もう少しお値段がかかりますが(笑)。少なくともインプラントは95%以上が10年もつと言われていますから、歯科医としてはやはりブリッジよりもインプラントが第一選択肢だと思います。
インプラントは骨に人工歯根を埋め込んで人工歯を付けるものです。ブリッジのように他の天然の歯に負担をかけることもなく、しっかり刺激が伝わるので入れ歯やブリッジほど骨がやせにくいというのもメリットでしょう。欠損した歯の数や患者さんの健康状態によっても違ってきますが、入れ歯かブリッジかインプラントかと聞かれたら、長い目で見ても費用対効果からインプラントを選ぶことをおすすめします。
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