インプラント治療にかかる正確な期間はどれくらい?
いざインプラントを始めようとしたときに立ちはだかる問題
インプラント治療は、まず抜歯するところから始まります。歯がない状態のときもありますから、患者さんから「治療期間はどれくらいですか?」という質問を受けることが少なくありません。できるだけ早く治してしまいたいのは、歯科医である私も同じです。今回はインプラントにかかる治療期間についてお話ししましょう。
大前提として、日本人は予防するよりも「虫歯になってしまってから治す」という意識があったり、「歯並びをそこまで重視しない」傾向があったりします。歯に対する意識が高いアメリカやスウェーデンでは、もし歯並びが悪ければ多くの方がすでに子供の頃に治してしまっていますから、インプラントが必要になってもそのまますぐに治療にとりかかれるのです。
そこまでの意識がない日本の患者さんの場合、インプラントの治療にとりかかる前にまずは歯並びから治さなくてはならないということがあります。極端に歯並びが悪い場合、それがインプラントしなければならないほど歯を悪くしてしまった原因になっていることもありますし、そのままインプラントの人工歯根が埋入できないほど骨が曲がっていることもあるのです。そうした矯正治療から始める場合は、それだけで少なくとも1、2年の期間、ひどい方ではさらに数年の期間がかかってしまいます。
抜歯した歯を周囲に悟られないようにする裏ワザも
ただし、矯正治療をしながらでも、その期間にインプラントのための治療を効率よく進行できる場合があります。インプラントではダメになった既存の歯をきれいに抜歯し、手術によって人工歯根を骨に埋め込んでいくわけですが、抜歯した後や人工歯根を埋め込む手術をした後などには、患部が落ち着いて定着するまでにある程度期間をおく必要があります。その期間にも、矯正治療を進めることができるのです。
患者さんによって、本当にいろいろなケースがあります。たとえば歯の根っこが縦に割れてしまって、抜くしかないような場合。いつまでも抜かないでいると歯がどんどん溶けていってしまいますから、できるだけ早く抜くことをおすすめします。そのときに、まだちゃんと骨があれば期間をおかずにインプラントをそのまま埋め込むことができるのです。
インプラントをするには必然的に歯がない期間があると書きましたが、実は裏ワザもあります。抜歯した後に、わざとかませないように両隣よりも低くした仮歯を入れておくのです。ぱっと見はその高さの違いに気づきにくいですから、歯がないことを周囲の方にも悟られずに済みます。
実際に、インプラントの治療にはどれくらいの期間がかかる?
インプラントのために抜歯すると、骨の新陳代謝が起こるリモデリングの期間は6カ月ほどだと言われます。抜歯したところの骨はだんだんとやせていきますが、6カ月経つと8、9割がた、その変化が終わるのです。つまり、インプラントの人工歯根を埋入するには抜歯してから6カ月ほどの期間を経ると安定しやすいということになります。
一方で、もう少し早い期間でインプラントの人工歯根埋入手術をしたほうがいいんじゃないかと提唱する歯科医もいます。抜いてまだ3カ月ほどの若い骨のほうが、細胞がどんどん作られていくため、インプラントも根付くのが早いというのです。
「インプラント治療の期間はどれくらいかかる?」と聞かれたら。特に下あごの場合は、インプラントを入れてから半年という短い期間で終わるケースもあります。2カ月も経てば歯ぐきレベルでは完全に治っていますから、あとは骨のレベルを待つだけ。歯型をとって人工歯を作れば、下あごだと早くて3、4カ月でかめてしまいます。
全体の期間としては、まずはするべき歯科治療を終わらせなければなりません。そしてインプラント治療をするための検査や相談に、急いでも1カ月。それから4カ月から6カ月で歯型をとって、次の段階の手術をします。人工歯ができるのは、大掛かりなものでなければそれから1カ月ほどでしょう。それぞれの詳細はその患者さんによって違ってきますから、まずは歯科医院でどんな治療が必要か一度見てもらってください。
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