マウスピース矯正とワイヤー矯正を徹底比較

2019年03月13日 矯正

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今回の「歯の教室」では、インビザラインなどの「マウスピース矯正治療」とマルチブラケットなどの「ワイヤー矯正治療」の利点欠点について比較していきます。

筆者の歯科医院では、マウスピース矯正とワイヤー矯正の両方とも積極的に行っていますので、それぞれの利点欠点を目の当たりにします。この記事を読んだ方が、今後矯正治療を希望するなら、そしてマウスピース矯正に強い興味があるならば、「絶対にマウスピース矯正でやる!」と決め付けずに、このページで利点欠点を比較してから、さらに歯科医師の診査結果を頼りに治療法の選択をして下さい。治療結果の希望を示すのは患者であるが、治療法を決めるのは、患者でなく歯科医師であることを忘れないで下さい。

マウスピース矯正とワイヤー矯正との比較!利点

マウスピース矯正の利点

歯の矯正治療インビザライン・システムなどのマウスピース矯正治療の利点を挙げると、何よりも「矯正治療を他人に気付かれない」ということです。

一部の日本人にとって「矯正治療をしている事」は恥ずかしい事であり、歯に付けた金属製の矯正器具を人に見せたくないようです。「口の中に金属が見えるのが嫌だ」というのが矯正治療自体を受けない理由になっているくらいです。この最大の問題を解決するのがマウスピース矯正です。他人に気付かれない以外にも利点はあります。

 


【審美性が良いこと】

この写真で比較すれば一目瞭然です。見た目の違和感がないのは、ブラケットを使わないマウスピース矯正の方です。

 

(マウスピース矯正の見た目)

 

(ワイヤー矯正の見た目)

 

 


【清掃性が良いこと】

患者には取り外しができない矯正装置であるワイヤーブラケットは、形態が複雑であり、口腔内が不潔な状態が続けば容易に虫歯になってしまします。そうならないように、歯ブラシの他にも歯間ブラシやインターデンタルブラシなどを使った徹底的な歯の清掃が義務付けられています。

それと比較して、マウスピース矯正での矯正装置は、食事と歯みがきの時間は取り外すので、とても歯磨きしやすくなっています。マウスピース矯正のほうが歯みがきにかかる時間は短くなりまね。しかし、良い事ばかりではありません。

 

(マウスピース矯正の歯磨き)

 

(ワイヤー矯正装置の清掃)

 

マウスピース矯正の欠点

【患者負担が大きい】

ワイヤーブラケット矯正では、ワイヤーの調整は矯正歯科医が行ないます。患者は単に歯科医院で口を開いていて、次の受診の予約を守れば良いので、患者による作業はほとんどありません。しかし、マウスピース矯正の場合は、患者の作業という点で違います。

自身でマウスピースを毎日交換しながら歯を動かしていくマウスピース矯正では、歯科医院での調整がほとんどない代わりに、患者自身に行ってもらう作業が多いので、これは患者負担が大きいといえます。そのためにこれを欠点の一つ目に挙げました。

しかし、実際には、この作業は「毎日行なう習慣」として定着させてしまえば、苦痛と考える人は少ないです。

 

(マウスピース矯正の出し入れ)

 

(ワイヤー矯正の調整)

マウスピース矯正には矯正治療期間が長くなる要因がある

(マウスピース矯正の治療期間)

 

(ワイヤー矯正の治療期間)

歯を動かすには、強すぎず、弱すぎない丁度良い力で持続的に力を加えていく必要があります。動かす速さは2週間で0.2mmほどです。インビザラインなどのマウスピース矯正では、医学的見地からそのペースで動かす経計画を立てています。しかし、全ての歯を同時に動かすわけではありません。叢生を例に挙げて両者を比較してみましょう。

 

 

【マウスピース矯正の場合】

マウスピースを使い歯の移動をさせるには、多くの場合、最初は前歯を動かさずにそれをアンカーにして奥歯を遠心移動させます。その後、出来たスペースを利用して前歯を並べます。つまり、[奥歯を動かす時間]+[前歯を動かす期間]となる場合が多いのです。

 

【ワイヤーブラケットの場合】

ワイヤーブラケットの場合は、全ての歯にブラケットを装着してから、細いワイヤーにより弱い矯正力を働かせます。この時点で前歯も動かし始めています。そして動かしたい奥歯があれば、バネが開く力やゴムが収縮する力を利用して前歯が並ぶスペースを作っていきます。[奥歯を動かす時間]と[前歯を動かす期間]が重なる期間があるということです。

 

歯科医がゴムやバネの力を利用して直接コントロールできるワイヤー矯正と比較して、患者に装着を任せるマウスピース矯正は、術者によりコントロールができないために、しばしば「患者による装着のエラー」が起こります。そのような理由で治療計画通りに行かなくなってしまうとリカバリーが必要となり、治期間が延びる要因になります。

このような要因が、マウスピース矯正は治療期間が長くすることもあるのです。それぞれの利点と欠点を正しく知っておくと良いでしょう。

 

 

マウスピース 矯正の対応症例に限りがある

現在では、マウスピース矯正はあらゆる症例で実績をあげています。上顎骨側方拡大もできる時代になりました。しかし、全てが上手くいくとは限りません。インビザラインを供給するアライン・テクノロジー・ジャパン株式会社はあらゆる症例に対応できるように努力していますが、現在のところ、私どもは「噛む筋肉の問題が歯に出た結果に起こる歯列不正には慎重になるべきだし、歯の上下移動も苦手」と考えています。私が歯科医として治療を行なった経験上、歯並びだけが問題なら上手くいくのですが、やはり骨や筋肉の問題があると難易度度が急に上がります。マウスピース矯正がダメとはいえないものの、ブラケット矯正が向いているケースの方が多いと考えています。

しかし、「マウスピースで矯正したい」という患者さんは、“どうしてもワイヤーが嫌だ”というのですから、マウスピース矯正を選択すればいいと思います。私どものアドバイス視しては、歯科医院の選択をしっかりして頂きたいという事です。

いざ、歯が上手く動かなかったとき、リカバリーが必要なときには、一旦、マウスピースを外し、一時的にでもワイヤーやゴムを使ってリカバリー出来る技術を持った歯科医院を選ぶべきです。「ワイヤーの調整のための器具は置いていないマウスピース矯正専門をうたった歯科医院」はお勧めしません。

矯正中の治療計画変更というのは珍しいことではありません。例えば、マウスピースを一時的に止めて、ワイヤーやゴムを使用する治療計画への修正もあります。そのたびに追加料金が発生するのか否かをあらかじめ確認しておくことがトラブル防止に役立ちます。ちなみに「水戸インプラントクリニックおおとも歯科」では、インビザラインというマウスピースン矯正装置を使っていますが、治療前に契約した料金以外に追加料金を請求する事はありません。

見えないワイヤー矯正である舌側矯正について

他にも目立たない矯正として有名なのが「舌側矯正」です。これはワイヤーを使っても見えないように、歯の裏側に針金を通すものです。写真を見るだけで、舌が痛そうですね。安易に行なわないで下さい。これは十分な説明を受けて「デメリット」も理解し、同意した上で行うべきです。

まとめ

今回の「歯の教室」では、インビザラインなどの「マウスピース矯正治療」とマルチブラケットなどの「ワイヤー矯正治療」の利点欠点について比較しました。

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