思いっきり笑っても安心 目立たない矯正方法とは
目立たない矯正治療の装置を紹介します。目立たない矯正には、マウスピース矯正と審美ブラケット矯正がありますが、そのうち「インビザライン」や「クリアライナー」などのマウスピース矯正治療の向き不向きについて解説していきたいと思います。
目立たない矯正治療とは?
矯正治療と聞いて皆さんがイメージするのはきっと下の写真のような口腔内でしょう。
矯正治療がしたいけれども目立つ矯正装置を口腔内に装着するのは嫌だという方も少なくないかと思います。ですが近年ではそういった患者様の声から出来るだけ目立たないように考慮された矯正装置が開発されています。
中でもマウスピース矯正は矯正装置の中で最も目立ちにくく若者を中心に人気を集めています。従来の矯正のようにブラケットやワイヤーなどを使用する矯正治療とは全く異なり、マウスピースを使用して歯を動かす矯正治療法です。
マウスピース矯正とは?
とても目立ちにくいこの矯正方法は歯に接着した小さな凸の部分とマウスピースの凹の部分とを利用して歯を動かす矯正装置です。理想的な歯列に少しずつ変化しているマウスピースは理想的な歯列に仕上げるまでに必要な個数は不正歯列の度合いによって様々ですが2週間に1つのマウスピースを使用するペースで交換していきます。ですからマウスピースの必要個数によって矯正期間がある程度決まります。期間やゴールがわかりやすく頑張れそうですね。
ただ、マウスピース矯正は対応できる歯列に限りがあり、咬合を大きく変える場合や重度の叢生などには向いていない矯正方法ですので注意が必要です。
歯列不正の種類とマウスピース矯正の適用範囲
【適用症例】
叢生(乱ぐい歯)
歯数や歯の大きさに対して顎のサイズが小さく、歯がきれいに並ぶだけの十分なスペースがない場合このような歯列不正を引き起こします。生えてくるスペースのない歯でもどうにか生えてこようとする結果、歯が重なってしまったり、唇側や舌側に転移して生えてくるのです。
原因として顎の骨が小さい「骨格性」のものと「骨格性でない」ものがあり、診断の結果治療方針に違いが出ることがあります。
骨格性でなく、小範囲の及ぶ叢生であればマウスピースで容易に矯正治療を行うことが可能です。
空隙歯列(すきっ歯)
叢生とは反対に空隙歯列では、顎の大きさに対して歯数が少なかったり歯が小さかったりする場合に生じる空隙がある状態の歯列を言います。
場合によって歯矯正だけでなく歯を大きくするために歯間修復を行ったり歯数が足らないところをインプラントで補たりの施術が必要になることもありますが、歯の移動で済むケースであれば
歯間の空隙をマウスピース矯正で埋めることは容易です。ただし、大きめの舌や食いしばり傾向が強いために引き起こされた空隙歯列の治療には慎重になるべきです。
交叉咬合
上下の歯がかみ合わさっている状態の時、通常の咬合であれば上顎の歯が下顎の歯を覆ってる状態です。しかし、交叉咬合では部分的に咬合が反対になっているところがある状態、つまり下顎の歯が上顎の歯を頬側から覆うように逆咬合になっている状態です。
これらの咬合改善もマウスピースで行うことが可能です。ただし、骨格性の場合は「外科矯正」の適応である可能性もありますので、マウスピース矯正の前にしっかりとした診査診断、カウンセリングがより重要となります。
上顎前突(出っ歯)
いわゆる「出っ歯」である歯列を言います。
上顎の前歯が前方に突出している場合も叢生と同じように、歯が並ぶスペースに問題がある可能性があります。小臼歯の抜歯をして、歯が並ぶためのスペースを確保し、そこに歯列を並べることが可能です。
基本的に「上顎前突」であればマウスピース矯正が可能ですが、ケースによってはオススメできない場合もあります。上下のかみ合わせが安定していない方がマウスピース矯正を行なうと、ずれていた上下の顎の位置が、正常に戻ってきて、上下のかみ合わせが合わなくなる懸念があります。マウスピース矯正の途中でブラケット矯正に切り替える可能性があります。
しかし、重度の上顎前突の場合、最初からブラケット矯正を行なうと、ブラケットとワイヤーが唇に当たり、痛みの辛さが懸念されます。そのような時に、矯正治療の前半でワイヤーを付けないマウスピース矯正を取り入れることにはメリットがあります。極度の上顎前突(出っ歯)が改善したところでブラケットを付けることで、矯正治療前半の金属が唇にぶつかる痛みは発生しないので、これは意味がある事といえます。
【適用外症例】
下顎前突(反対咬合)
上顎前突の逆で、下顎が前方に突出しているかみ合わせを言います。いわゆるしゃくれている状態です。
上顎よりも下顎が大きいことが原因である場合が多く歯列レベルでの問題ではないのでマウスピースでの矯正治療は難しいでしょう。骨格性の場合は外科矯正を併用する必要がありそうです。
過蓋咬合
過蓋咬合では、上顎が下顎を覆っているものの、通常よりも歯の被蓋が大きく、かみ合わせが深い状態の咬合状態を言います。
マウスピース矯正は咬合高径(かみ合わせの高さ)を変えるのは難しい為にあまりオススメできません。
マウスピース矯正にとっては難易度の高いケースとなります。
開咬
臼歯部ではしっかり噛めているものの、前歯部が全く噛めていない状態の咬合を言います。
大きな舌の存在や舌習癖がある場合は、矯正治療自体も難しめです。
マウスピース矯正の場合は、上下的な歯の移動がやや苦手です。慎重になるべき状態といえます。マウスピース矯正はあまりオススメいたしません。
適用症例外の場合の矯正治療方法
「マウスピース矯正をおススメできないような難症例」には「ワイヤーブラケット矯正」が向いています。
ワイヤー自体の弾性やゴム、バネの力を利用して歯を押したり、引っ張たりしながら歯列を移動させる方法です。これは、マウスピース矯正と比較してよりしっかり歯に矯正の力を与えることが出来るため、術者による矯正力や矯正方向のコントロールがしやすいために、先の難しい矯正治療にも対応できます。
「針金が見えるのは嫌!」という人には、通常の金属製のブラケットを使わずに、歯と同じ色や透明をした審美ブラケットとホワイトワイヤーを使用した審美矯正治療はというのもあります。これは唇頬側(歯の表側)に矯正装置を装着して行うワイヤー矯正装置ですが、非常に目立ちにくくなっていますので検討してみてはいかがでしょうか。
目立たない矯正高地、デーモン矯正システムとは
デーモンシステムは、アメリカのデュイット・デーモン博士が開発したローフォースローフリクションテクニックを採用した矯正装置のことです。これによって、矯正中に目立つ金属をさほど気にすることなく歯並びや咬み合わせをきれいに整えるブラケット矯正治療の方法です。
まとめ
矯正と聞くとあの目立つ銀色の矯正装置をイメージして矯正を断念してしまう方もこの記事をみて、目立たない矯正装置もあることがお分かりいただけたでしょうか。
矯正を希望される方の多くは審美性の改善を目的に来院される方が多いかと思いますが、矯正治療の一番も目的は咬合の改善なのです。
インプラント相談に来る多くの患者さんは歯列不正によって咬合の負担を多く受けた歯が歯根破折したり、重度の歯周病になったりした方が多いのです。そう考えると、「バランスのいいかみ合わせを作る治療が歯の長持ちにとても大切だ」ということがわかりますね。
歯を長持させるために、「歯科医によるかみ合わせの診断」を受け、必要な方は是非、矯正治療を受けて頂きたいと思います。
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