歯科医が教えるマウスピース矯正のメリットとデメリット
おそらく矯正治療で連想されるのは、「歯に装着された目立つワイヤー」ですよね。
この矯正器具が目立つのが嫌なばかりに綺麗な歯並びをあきらめて、悪い歯並びで暮らす人もいるのです。
あきらめる前に検討して欲しいのが、「マウスピース矯正」です。3Dプリンターを使って作られた「目立たない矯正装置」を使います。そこで今回はこの魅力的な「見えない矯正」と言われている「マウスピース矯正のメリットとデメリット」について解説します。
マウスピース矯正とは?
歯の矯正をしたいけど、目立つ矯正装置を歯に装着することに抵抗を感じる方のために開発された透明のマウスピースを使用した矯正治療のことを言います。従来の矯正装置と比較して矯正装置が目立たないため、他人に矯正治療していることを気付かれにくいのが特徴です。
メリット/デメリット
メリット
・透明で見えにくく、目立たない
金属ブラケットの見た目を嫌う人にとっては、この審美性の良さが最大のメリットとなります。
・取り外しが可能である
マウスピースを外して洗えるので清潔です。歯みがきは、装置を外した状態で行なえるので、歯列矯正治療中の虫歯リスクは装置を外せないブラケット矯正よりも低くなります。
・痛みが少なく、口内炎になりにくい
鋭利な金属装置が口腔内に無いために矯正装置により舌や口唇を傷つけるリスクがないため口内炎になりにくいです。
・仮歯として利用することも可能
欠損部に対しては、マウスピースの内側に歯冠色レジンを詰めて借歯として使用することも可能です。
・通院回数のコントロールが可能
治療当初は、2週間~4週間に一度の来院となりますが、患者がマウスピースの扱いに慣れて、治療に問題が出ない順調な期間は、2か月に一度の来院で済むこともあり、ある程度患者の希望にお応えできます。
・信頼度の高い矯正方法である
マウスピース矯正には各種ありますが、米国アライン・テクノロジー社によるインビザラインシステムは、世界中で340万人以上の治療実績があり、そのデーターは更新され開発にフィードバックされています。多数の信頼される論文による裏付けされた
治療法です。
・矯正治療中にホワイトニングが出来る
装置を外せばオフィスホワイトニングもできますし、このマウスピースをホームホワイトニングに使えますので、歯列を並べながら同時に歯を白くすることができます。
デメリット
・装着時間を守らないといけない
装着時間を守らないと歯が動きません。食事中と歯みがき時間以外は正しく装着している必要があります。
・矯正治療期間が長くなることもある
マウスピースを使用して行うこの矯正は、マウスピースが歯を押す力で歯を移動させます。歯を動かす方向によっては苦手な方向もありますので、まれに十分な力を加えることが出来ない場合がありますので歯列の状態によっては、矯正に時間がかかることがあります。
・自己管理が必要である
マウスピースを着脱するのは患者自身ですので、こっそり外してしまう患者の歯は正しく動きません。約束を守れる人しか向かない治療法ですので、「本人の頑張り」が必要です。
・対応症例に限りがある
強い力を加えることが難しいこのマウスピース矯正では、歯の大きな移動や上下的な歯の移動が必要な重度の症例もなんとかできますが、難しいです。上下的な歯の移動が必要な重度の症例は、ワイヤー矯正の方が向いています。マウスピース矯正は万能ではありません。
前歯部の叢生やちょっとした転移、捻転などの矯正にはマウスピース矯正が向いています。歯並びやお口の状態によっては、マウスピース矯正では治療できないことがあります。
ここでは、マウスピース矯正のメリットデメリットをご理解いただいたので、次に従来の矯正方法であるワイヤー矯正とマウスピース矯正は、どのような点で違いがあるのか徹底比較してみましょう。
まとめ
まずは自身の歯列がマウスピース矯正に対応するものであるのかどうか診断してもらう必要がありますので、信頼できる歯科医院でのご相談をおススメします。計画通りに動かなかった場合には、何らかの方法で対処できるのか、どうかと、この対処に追加料金がかかるか、かからないかはあらかじめ確認して下さい。素敵な歯並びになると良いですね。
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