「インプラント矯正」をするなら、知っておきたいこと

2017年10月02日 矯正, インプラント

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歯を入れるインプラントとは、また違うものです

「インプラント」とは、生体に人工物を埋め込むことの総称です。歯を失ったところへ人工歯根(インプラント体)を埋入して人工歯を付けるのが、「デンタルインプラント」。多くの方が歯科治療でイメージされるインプラントは、このデンタルインプラントではないでしょうか。「インプラント矯正」はそれとはまた違い、インプラント体を使って歯の矯正治療を行うことを言います。

矯正用インプラント体「アンカースクリュー」を体に埋め込み、そこへゴムやバネをかけて歯をひっぱったり押したりして動かしていく治療を行うのがインプラント矯正です。歯を失ったところへ人工歯を入れるデンタルインプラントとはまったくの別物であることが、おわかりいただけたでしょうか。

インプラント矯正の治療が選択される場合とは

矯正はそれぞれの歯にブラケットと呼ばれる器具を付けて、形状記憶合金のワイヤーを通し、それがまっすぐに戻ろうとする力を利用して動かしていく方法が一般的です。しかし、歯と歯をつなげて力を加えるということは、お互いの歯に力がかかって動くことになります。力がかかる歯も動いてしまうことになりますから、著しく歯並びが悪いような場合はそうした矯正をするのは難しいことがあるのです。

前歯で、いわゆる「出っ歯」がかなりひどいような場合。一般的な矯正だと前歯を奥歯につなげて引っぱっていくわけですが、そうすると前歯が引っ込む分だけ奥歯も引っ張られて前に出てこようとしてしまいます。歯同士がひっぱり合って、動かなくていい歯も動いてしまうわけです。

全体を奥へ引っ込ませたい場合、あごの骨にアンカースクリューを埋入し、そこにバネをひっかけて引っ張るインプラント矯正をします。この方法なら奥歯も前に出ることはありませんし、矯正も安定します。従来の方法より効率がアップし、治療期間もだいぶ短く済むのです。

骨に埋め込む矯正用インプラントは痛い?痛くない?

アンカースクリューは、あごの骨に埋入する矯正用インプラント体です。デンタルインプラントで使うものに比べれば3分の1以下にあたる直径1mmほどの小さなネジ。よく患者さんに「あごにネジを埋め込むなんて、痛くないんですか?」と聞かれますが、インプラント手術をするときにはしっかり麻酔がかかっていますし、術後すぐだって、歯を抜くより痛くないくらいじゃないかと思います。

デンタルインプラントでもそうですが、インプラント矯正用のインプラント体を埋入したあと骨とくっ付くまでには、ある程度の時間がかかります。そこで性急に力をかけてしまったりすると、インプラント体がぐらぐらしてしまったり、取れてしまうこともあるのです。たとえ取れても再度埋め込めばよいのですが、最初とは違う埋入場所を探す必要があります。また、歯と歯のすき間の骨にピンポイントで埋め込むので、歯根を傷つけないための安全性を確保しながら、術後があまり長引かないようにするための配慮も必要になってきます。

矯正を専門にしている歯科医の中には、このインプラント矯正の場合、インプラント手術だけは私のようなインプラントを得意とする歯科医に紹介状を書いて任せることがあります。そこは得意分野のある先生のほうが安心してお願いできると思いますから、お任せしましょう。飛行機に乗るときに、不安だからと「この機体はどうやって動くの? 燃料は何リットル入っているの?」なんて機長に聞く人はいませんよね。治療方針がしっかり決まったら、あとは信頼関係。歯科医が最善の方法をとって、治療を完了してくれるはずです。

 

 

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